映画「キサラギ」を観て

 抜群に面白かった。キャスティングもユースケ・サンタマリア小出恵介小栗旬塚地武雅香川照之と個性派揃い。まあ、ストーリー・設定を見ただけで大体想像はできたのだが面白い。また、その設定の難しさから映画としてとても上手く仕上げていると思った。いわゆるお芝居として小劇場で上演されてもおかしくないような設定なのである。

 物語は不慮の死(自殺とされる)を遂げたD級アイドルの如月ミキの一周忌の追悼として「ファンサイト」のコアなメンバーが「オフ会」に集うことから始まる。5人のファンは始め自分の秘蔵コレクションを見せ合うという和やかなムードだったが、次第に死の真相を質すという雰囲気になる。

 ついには自殺は不審な点があり、犯人探しが始まるということになるのだが、その過程で次々と5人のメンバーの真相が明らかになっていく・・・。

 場面はオフ会の一室の中からは一歩も出ない。その限られた空間でこれほど面白い展開を見せるのは大したものだと思う。ユースケ・サンタマリアの存在感(ハンドルネームがまた面白い)、香川照之の怪優ぶり、塚地武雅の飄々とした存在。ぐいぐい引っぱる映画だ。

 最後の最後で如月ミキは大磯ビーチの映像で登場するが存在は薄い(笑)。男5人の熱い戦いがこの映画の醍醐味だろう。

 なお、映画館に行ったときあまりにも10代から20代女性の率が高いことに気付き、その場違い感に閉口したことを申し添えます。