「旗本夫人が見た江戸のたそがれ」

旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記 (文春新書 606)

旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記 (文春新書 606)

 小説新潮4月号日記特集にあった本。とある旗本夫人が晩年の5年間書きつづった日記。当然ながら日本史教科書の無味乾燥な歴史とは大違いで天保の改革の頃のリアルな江戸の世の中が描かれている。
 この本の作者は著者(旗本夫人)が批判精神を持っていたと持ち上げているが、辛口世相日記という見方もできる。当時の社会で話題になったことを冷静にぶった切っている。知らなかったが曽根崎心中以来の「心中」も「相対死」と改めて言葉を禁じたらしい(当然行為も)。水野忠邦の評判(上知令・・・習ったような)が具体的で面白い(うわさ話など)し、大奥が炎上した時の様子が生々しい(「火事だ」と叫ぶことは習慣として大奥で禁じられていたとのことで、それが余計に発見を遅らせたのではないかなど)。
 正史はもちろん大事かも知れないが、こういう庶民(じゃなく武家だけど)的目線はとってもイメージが湧く。もう一冊ぐらい江戸ものを読みたくなった。
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